20221017|御柱祭とドキュメンタリー映像の音楽

この冬、大学の同級生の仁科賢人くんがディレクターを務める長野朝日放送制作のドキュメンタリー映像の音楽を担当することになりました○

◾️ドキュメンタリー映像の音楽
2019年に御嶽山をテーマにしたドキュメンタリー映像の音楽を担当させて頂いたのですが、今作のテーマは、1200年前から受け継がれてきた御柱祭。祭りの向き合う現実と諏訪の自然、縄文文化からの継承と祭りに関わる家族の物語に焦点を当てています。来年アタマの1月〜2月にBS朝日ゴールデン帯で放映予定で、その打ち合わせと取材、実際の祭りに参加するために、昨日一昨日と長野県に行って参りました。

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◾️同世代の刺激
土曜日は、長野市の山のコテージへ。つい最近まで奄美あたりにいたので寒さを警戒していたのですが、そこまで寒くなく一安心。窓が二重・三重なのを見たことないくらい南国育ちにとって、山の暮らしは新鮮に映ります。
このコテージのホストは、これまで熊を150匹以上解体した経験を持ち、天真爛漫な性格のちーちゃん。そこに映像作家と音楽家、きのこを扱う会社の専務で地球に貢献できることを考えているつっちー、アラスカを中心に世界を旅する写真活動家 佐藤大史さんと異ジャンルの同世代が集まりました。みんなで焚き火を囲みながら、同世代だからこそできるアツい話で親交を深めました。
社会貢献も含めた大きな活動をしている同世代の友人というのはとても貴重で、この繋がりが経済や暮らしに音楽やアートが深く関わる仕事や企画になる可能性を秘めています。僕ら世代は甘い汁は啜れないかもしれないけど、夢と後に何を残すかを考えることができるし、その刺激と希望を確かに受け取れた、とてもいい時間でした。

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◾️御柱祭と木遣り
日曜日は、長野朝日放送局の撮影クルーと一緒に早朝長野市を出発して諏訪市へ。御柱祭といえば、7年に1度開催される春の諏訪大社の御柱祭の事を指しますが、秋には各地区の神社で「小宮の御柱祭」が行われます。 

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その中で度々聞こえてくる氏子たちが息を合わせるための掛け声を「木遣り」と言います。それを担うのが「木遣り師」で、番組では去年12月から木遣りに魅せられた姉妹に密着しています。この掛け声が独特の音楽になっていて、わらべうたにつながるペンタトニックと詩吟のような音程のベンディングが混じっているのが特徴です。

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小宮の御柱祭は子ども達が主役で、夏に練習した木遣りを披露します。 そして木遣り師に魅力を感じた住民は木遣保存会の体験会に参加し、小宮の祭りで披露することを目指し木遣り師としての一歩を踏み出します。 今回は上諏訪地区の御柱祭に取材・同行させて頂きました。そして、取材の中心となるご家族とともに結構な山道を登って、祭りの行われる中心部へ。祭りの中では、急斜面を柱が滑り落ちる「木落し」も見られました。

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■直面する問題
一方で、御柱祭が直面する現実も感じ取れました。1つ目は少子化と過疎化による継承の問題です。今回、地区の祭りとはいえ、参加する子どもの少なさを感じました。祭りに興味がない人も沢山いるそうです。そう言う意味でも、やはり子どもというものは宝なんだなと感じます。
2つ目は、祭りに使われる「御柱」の植樹や保護活動です。御柱に使う御用材を育むことは祭りを受け継ぐために大切なことなんですが、近年はシカの食害が深刻化しており、環境問題も背景には暗い影を落としています。
これらは言うのは容易いですが、非常に難しい問題です。

f:id:naoyuki0730:20221017153837j:image◾️来月はレコーディング
今回はなかなか経験できない体験をさせて頂きました。御柱祭と共に生きる人々の想いと結びつき、諏訪の自然美と縄文時代から続く歴史を音楽で表現できる機会を頂き、大変嬉しいです。11月末にレコーディングを控えていますので、是非良い作品を作りたいと思います○