今回の鹿児島での最大のミッションは、徳田さんとのレコーディングでした。2人の共同アルバムとして制作しています。
徳田さんについてざっくりご紹介すると、鹿児島・インドネシアの日本人学校で教員として音楽教育に携わった後、谷川俊太郎さんや賢作さんなどのライブ企画をされる傍ら、リコーダー奏者として学校公演を始められました。その頃に賢作さんや五島さんの紹介で知り合い、ここ2・3年一緒に続けている学校公演やデモ音源制作、自宅でのライブなどで演奏を重ねてきて、満を持してのアルバム制作となりました。
前日に録音担当の五島さんが鹿児島入り、翌日霧島にあるみやまコンセールの主ホールにて録音。みやまコンセールは有名なホールですが、その響きは素晴らしく、一音鳴らすだけで天然のリバーブと倍音の豊かさに吸い込まれそうになります。特にリコーダーの音のように生音の楽器は奏者本人が1番気持ちよくなる魔法の空間だったと思います。
ピアノの調律は、みやまコンセールや徳田さんのお家のピアノも担当されている、後野さんでした。ずっと後野さんのお話はお聴きしていた中、今回初めて一緒に仕事をさせていただきましたが、すごく穏やかな方で丁寧な仕事ぶり。今回使用したスタンウェイのフルコンは後野さんがずっと手をかけていることもあり隅々まで特徴を把握。また年度末の調整も近かったことからこれ以上ない素晴らしすぎる状態・環境の中でプレイさせていただきました。
録音担当の五島さんは、リコーダーの種類や曲調によってマイクの位置を微調整したりと言ったいつもながら簡単なようで到底真似が出来ない繊細な技術に加え、照明用のスタンドを使って約4メートルの高さから録ったりする珍しい技も投入してくるなど、毎回技術とアイデアを進化させてきます。極め付けは、ホールにごく微かに聴こえていた機器の電流の音を指摘し、鳴る音全てをキャッチするさすが耳の専門家という仕事ぶり。
レコーディング2日目は、徳田さんのお家M's SPACEにて。去年インドネシアの楽器屋さんで買った練習用グンデルや笛・小物などを使い、みんなで即興。特に、徳田さんのお家にある手作り風鈴(音階付き)が風に吹かれながらいい音を出していたので、それ単体の音も収録。これで全てのレコーディング工程が無事終了しました。
今回レコーディングした曲は全16曲にも及びます。その全てを一発録り、ほぼノー編集で収録予定です。とても集中と体力のいる時間でしたが、終わった後充実感に溢れていました。それに難なくついて来てる、寧ろ食い気味について来るみなさん。底無しの体力だなぁ。素晴らしいです。