20210322|耳のおはなし

先日イヤホンが壊れたので、新しいものを購入しようとお店へ足を運びました。

普段の編集作業や聴くことに集中する場合はスピーカーかヘッドフォンを、移動中や確認のためにはイヤホンといった具合に使い分けているのですが、イヤホンに関しては未だにノイズキャンセリングのついたものやBluetoothのものではなく、有線のものを使っています。

無線の技術も上がって来ているらしいのですが、個人的に納得できるものに出会えていなくて、結局は聴き慣れた有線のものに戻ってきてしまいます。でも最終的に断線してしまうので、消耗品的な位置づけで、最低限の音質を担保できるものを使うようにしています。

僕個人としては特にハイレゾ音源を聴くことが多いので、今回は折角だからハイレゾ対応のイヤホンをと思い、いろいろと試し始めました。ハイレゾ対応のものは値が張るものが多いイメージですが、最近は手ごろな値段のものも出始めてたので、聴き比べをしてみました。

特徴としては、相変わらず低音をやたら強調するものやボーカルのラインがくっきり出るといわれるもの、「高音質」という割には音圧がやたらでかいだけのものなど、通常のイヤフォンと変わらない状況だなという印象です。だから結局、意図的な音操作の加わっていない「フラット」なものを選ぶという判断をするのですが、どうも、こういう色合いの無いものは売れ行きが悪いようです。

少し専門的な話になりますが、背景には「音が大きければ大きいほど良い」「音をいじればいじるほど良い」という聴こえ方の概念が作り手にもリスナーにあるように感じます。これは人の意識に関わることなので、大きく変わることは難しいと思いますが、少々変な価値観だなと思います。

爆音を否定しているのではないのです。実際の会場で聴こえるような臨場感=音の大きさではないということ、誤解を恐れずに言えば、音楽は音の大きさで決まるのではないということです。寧ろ、生き生きとした音楽(まさにライブ)を共有するためには、作り手も受け手も、もう少し丁寧な "耳の傾け方" に関わる必要があるのではないかと思うのです。

これは自戒も込めて、そして音に関わるものとしても伝え方を工夫していきたいなと感じているところです。