20230919|スタートライン

神戸・東京の2DAYSツアーが無事終わりました。お越し下さった方々、会場の関係者、作り手の皆さん、ありがとうございました。たくさんの収穫がありました。

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◾️ツアーを終えて
ユニットとしてのBluemanshipは、ベース小美濃くんとの対話から始まりました。その後レコーディングを通して、ワールドスケールのパーカッショニストKanくんと知り合い、今回でトリオ編成になってからの3回目のライブを終えました。回数は少なくとも共有するものが近いので、時間がかからずに目指す音楽に向き合えるのが素晴らしいところ。2回の演奏を通じて、アイデアの共有、曲やプレイへの理解、ユニットとして目指す地点が、頂いた感想などから聴き手に伝わったように思います。もちろん課題も色々でてきましたが、ポジティブなものばかりです。何よりも、スリリングな楽しさと伸び代を感じながら演奏できたことが今回の収穫のひとつでした。

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◾️進化と深化
個人的な話になりますが、数年前から自身の音楽活動で取り組んできた大きなテーマに、「借り物ではない自分の中から出てくる音楽の表現に出会う」ことがあります。もともと肌感で持っていた即興と作曲を行き来する感覚や影響を受けてきた音楽やアート、考え方を違和感なく身体に入れて使いこなすにはどうしたら良いか、試行錯誤してきているわけですが、今回のツアーを通して、やっとそのスタートラインに立つ目標をクリアした喜びを感じています。
東京の会場では、見守り隊として音楽家の谷川賢作さんがお越し下さったのですが(本当にお忙しい中ありがとうございました)、「僕の音楽が進化、深化しているのを実感しました」とコメントを頂き、先輩の言葉が身に沁みています。

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◾️生音と音場
今回もこだわりポイントとして生音と音場がありました。神戸・東京どちらの会場でもピアノの背中にベースとパーカッションがあるスタイルで、アンプを一切使わない完全生音仕様。特にベースはピアノやパーカッションに音量差で負けるのでは?という懸念点が聴こえてきそうですが、いまの小美濃くんの音量は全然負けてなく、むしろ会場に響き渡っています。
そういった生音のコントロールを鍛えたい個人的チャレンジという意味合いだけでなく、楽器そのもののポテンシャルを引き出すこと、ライブ会場でしか味わえない音場を作ることなど、色々な投げかけがあります。
また今回の100BANホールのピアノは、弾き手には変わったのがすぐにわかるほど、優子さんの最近試している調律が施されていました。個人的に「雑味」や「倍音のザラザラ感」といった抽象的な表現をしたりしますが、技術的なことの先にある"音楽的な調律"になっているかどうかが重要で、五島さんを含めた3人で毎回対話しているポイントだったりします。弾いた感触として狙っていることがうまくハマっていると感じましたし、いつものようにタッチとの連動性に技術の高さが込められていて、とても弾き心地の良いピアノでした。このように、会場の鳴り方や楽器の配置と職人の感性が噛み合って、アイデアの出てくる音場というものが作られます。

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◾️エルチョクロ
東京の会場は、雑司ヶ谷のエルチョクロ。一度、賢作さんとのデュオで出演して以来、かなり久しぶりです。店主の修作さんは九州にご縁のある魅力に溢れすぎる方。お店ではタンゴだけでなく、音楽に熱意があるユニットの音楽が繰り広げられています。それに応えられるユニットとして提案させて頂きましたが、快く受け入れて下さり、とても恐縮です。
エルチョクロのピアノは、タッチがかなり深く(個人的に深いのが好み)、弾き手によってかなり音色が変わるピアノだなという印象。ゆえに難しさもありますが、タッチの中で幅広いダイナミクスを表現できますし、天井の高さも相まって、とても奥行きの深い音が空間に響きます。また、ライブの終盤でもほとんど変わらない保持力も強みです。
客席にはいつも応援してくださる方や初めて聴きに来られた方に加え、台湾や中国、ネパールの方も来てくださって、アジア国際色豊かに。個人的には台湾語で曲名が伝わったのが嬉しかったのと、友人がたくさんできたこと。12月にまたお会いしましょうね。

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◾️作品づくり、次へ向けて。
神戸では五島さんによるライブレコーディング、伴さんによるライブ写真撮りも行われました。それらの素材をもとに、絵を描いてくださったノンさんを始めとした制作メンバーと相談しながら作品にしていきます。出来たら年内かな、ライブは来年で調整中です○
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Bluemanship
Naoyuki Hiyoshi - piano
Yuta Omino - contrabass
Kan - percussion
Non Nakagawa - illustration
Akihiko Goto - recording
Yuko Suzuki - piano tuning
Tomokazu Ban - photograph