20200709|CDを作っています!

今年あたまから、リコーダーとピアノの共同アルバムを作っています。3月末に鹿児島みやまコンセールで録音し、学校の音と徳田さんのお家での録音をするために、本当は先週行く予定でしたが、飛行機が飛ばなかったため、急遽きのう日帰りで鹿児島に行ってきました。

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一緒に作っているのは、徳田豊志さん。鹿児島とインドネシアで音楽教師をされたのち、詩人谷川俊太郎さんの公演を主催されたり、音楽家 谷川賢作さんやタイムマシンレコードの五島昭彦さんを通じて知り合い、自宅でのライブ企画や学校公演などを重ねて関係を築いてきました。単に僕が南九州の宮崎出身であるからという理由ではなく、音楽の付き合い方やこれからの音楽教育についてのまなざしを共有する歳の離れた同志としてお付き合い頂いています。

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そんな徳田さんのご縁から、今回のアルバムでは奄美大島の学校公演で出会った2人の校長先生に特に関わって頂いています。今は指宿で校長先生をされている平島先生に日頃から大きな後押しをして頂き、加治木で校長先生をされている大川先生には、実際に小学校での録音に快くご協力を頂きました。

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ー"学校の音"を録るー

僕たちが学校とはどんな場所だったのか思い出すとき、音によって記憶が呼び戻される感覚がありませんか?学校ではどんな音が聞こえているのか。それはチャイムの音であったり、廊下を歩く音、子供たちのわちゃわちゃした声、静かな場所で感じる風の音など、大小さまざまな音がまるでオーケストラのように鳴っています。もちろん授業中に怒られる声(笑)や正直学校にあまりいい思いを抱いていない人にとっての音などもあるかもしれません。それら全てを表現することはできませんが、作り手の意図がない、なるべくありのままの学校の音を残したいと思い、今回は大川先生の協力のもと、音が発生しやすい給食から昼休みおわりまでの音を収録させて頂きました。

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その音を録るのは五島さん。五島さんとは知り合って8年が過ぎましたが、時には音楽についてガチンコでぶつかり合いながら、単なる音楽家と技術者を越えた作品作りをしています。いつも師匠の金田さんと作り上げている自作のオーディオアンプなどを使った録音をしたりしますが、今回は僕の手持ちの録音機器と五島さんの小さなマイクを使って録るという手軽なスタイルに決めました。子供たちの音を録るときには実際にメガネにマイクを貼りつけて、人間の耳と同じ感覚で録ったり、徳田さんのお家で録音するときには、いつも僕が同じ機械とマイクで同じように録っているのに、全く違って聴こえるほどの技術で録音していました。

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僕も五島さんと仕事をする中で録音の技術や知識を得たり、実際に自分で録ってみたりしながら、その心得を実感していますが、間違いなく自身のプレイや音楽作りに影響を与えてきました。それは根っこにある『聴くこと』についてです。この話を掘り下げると長くなるので別の機会にしますが、リコーダーという楽器の語源がrecorderであること、そして五島さんには表現する録音家として一緒に音楽を作りました。

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徳田さんとは約4年ほど前から、鹿児島県内の小中学校での演奏訪問を始めています。20校以上周ってきましたが、その間にトライしてきた曲たちが今回のアルバムの主役です。20曲くらいを収録予定で、基本的に録り直し無し&no編集の一発録りによる空気感が収められています。

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僕たちが学校公演で演奏する曲というのは、いわゆる流行りの曲ではなく、音楽の教科書に載っている曲が中心です。唱歌と呼ばれるものや童謡、卒業式で必ず歌われる「旅立ちの日に」のような新しい唱歌の位置づけのもの、ジブリやポップスなどもあれば民謡などもあります。

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特に唱歌や校歌というのは、「お堅いもの」「音楽的に面白くないもの」としてレッテルを貼られてきました。それによって、メロディやハーモニーの魅力が覆い隠されるのは勿体無いし、生き生きとしたリズムを引き出したいと思っていました。例えばハーモニーを例にとると、C-F-Gのようなすごくシンプルなコードで書かれているだけで弾き手や聴き手が面白くないと判断するのはナンセンスだと思っています。もちろん元アレンジのセンスというのもありますが、そこには単にハーモニーを複雑にするだけで音楽が魅力的になる訳ではないこと、シンプルなコードに対する表現力というものに対する僕の意識があります。スタンスとして予めに自分で意図したアレンジに陥るのが嫌だったので、ピアノの音は楽譜に一切書かずに即興演奏で臨みました。そこに最近僕が取り組んでいる南の地方の沖縄民謡やインドネシアの歌、書き下ろした「tobali to hibari」という曲も録音しました。このアルバムにはそういったチャレンジが含まれています。

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レコーディングはすべて終わり、これから制作作業に入っていきます。リリースは瞑奏録音から8月末〜9月あたま頃を予定していますので、是非聴いてくださると嬉しいです😊