どんな人? / プロフィール

日吉 直行|音楽家

『皆さん、要注意です。柔和な頼りなさそうなこの顔にだまされないでください。この男、いったん弾かせると「おぬしなかなかの使い手 油断ならぬな」に豹変します。』(文:谷川賢作)


Photograph:Ban Tomokazu / Susumu Kamigaito / illustration:Non Nakagawa

ピアノから紡がれる枠に囚われない自由な発想と音遣いは、即興と作曲の境目を漂いながら、ご縁のある各地で ”ありそうでなかった音楽” を奏でる。

1986年7月30日、宮崎県延岡市生まれ。兵庫県神戸市在住。音楽と関わり始めたのは6歳、9歳からピアノ、15歳に音楽活動を始める。高校時代はピアノとドラムのデュオで活動をし、地元メディアに採り挙げられた。大学時代は音楽活動をしつつ音楽哲学や現代音楽などを学び、即興・ジャズの歴史について研究した。大学院卒業後、谷川賢作(音楽家)氏の後押しのもと、本格的に音楽活動を始める。

高校時代から様々な編成・アーティストと共にライブをしてきており、2019年には自主レーベル「瞑奏録音」を立ち上げ、数多くの企画を主催してきた。ピアニストとしてはオリジナル曲や即興演奏が主体のライブコンサートが多く、さまざまなジャンルや領域を「うろちょろ」遊び回っている。また音を奏でるだけでなく、作ったり整えたり録ったりもして音楽に関わっている。これまでに、ジャズフェスティバル・テレビ・ラジオへの出演、ニュース番組のテーマ曲・映像音楽・ラジオジングル・オーディオガイドの制作、絵・詩・文学・写真・書道・花・舞踊などジャンルを超えた表現者との共作を通じて、8枚のオリジナルアルバムをリリース、配信作品を5タイトル発表した。

「音楽とは何か」をお喋りしたり、音楽が新しい役割を担う仕事が好きで、活動初期から音楽の可能性を広げる企画や作品作りに注力し続けている。これまでに、哲学者との対談・音楽家として地域活性化プロジェクトに参加・即興を通して自由になるためのワークショップの主催・大学での特別講師など、指先の向こう側で歴史や想いを読み解く活動を展開。また、即興演奏で音を紡ぐ結婚式演奏・3歳〜86歳までの合唱団との共演など、子どもから大人まで関わり合いながら、距離が生まれがちな文化・芸術が身近になる場をつくるべく様々な現場に立つ。

— さらに、どんな人か知りたい方へ —

👓 学生時代
小学校1年生の時に鍵盤ハーモニカに触れ、3年生の時に自発的にピアノを弾き始める。当時はクラシック音楽を中心に演奏していたが、自然と楽譜に囚われずに自由に弾き始める。中学時代はポップスに興味を持ち、初めての作曲をする。高校時代にはジャズに影響を受け、ピアノとドラムのデュオで音楽活動を始める。2005年に神戸大学発達科学部人間表現学科1期生として入学後、田村文生(作曲家)氏のゼミに所属し、現代音楽やその周辺に傾倒。同大学院進学後は若尾裕(音楽学者)氏のゼミに所属し、音楽哲学や即興について深く向き合う。2012年に神戸大学大学院人間発達環境学修士前期課程修了(芸術修士)。

💿 アルバム
大学在学中から音楽活動を始め、谷川賢作(音楽家)・五島昭彦(録音技師)との出会いをきっかけに『into the Air』(2012年、タイムマシンレコード)を制作。近年の主な配信・CD作品に『"No Winter" Piano Solo Concert at 100BAN HALL (Live)』(2022年、瞑奏録音)、『冬樂奏 - 前夜 -』(2020年、瞑奏録音)がある。

🖐️ 奏でる
高校時代から様々な編成・アーティストと共にライブをしてきており、2019年には自主レーベル「瞑奏録音」を立ち上げ、さらに自身の考える音楽を表現するために企画を多く主催してきた。現在の活動として、ピアノソロ、木原鮎子とのうたに向き合うユニット「hoshibune」、小美濃悠太との青をテーマにしたユニット「Bluemanship」、浅井良将とのデュオなどがある。これまでには、ジャズフェスティバルでの演奏、『ジャズライブKOBE』(NHK神戸)への出演、北欧のジャズミュージシャン来日ツアーでのオープニングアクト演奏、舞踏・生け花などの異ジャンルとの即興演奏などがある。

🎧 作る・整える・録る
2023年より『abnステーション』(長野朝日放送)のテーマ曲、ドキュメンタリー『響け 姉妹の木遣り唄』(2023年、長野朝日放送)、『おやまに生きる』(2019年、長野朝日放送)の音楽・演奏を担当。また合唱曲、映像音楽、ラジオ番組のジングル、オーディオガイドの制作など、音を奏でるだけでなく作ったり整えたり録ったりする作品作りもしている。

🤝 手を取り合って
ナカガワノン(イラスト・デザイン)、山下麻里(絵・デザイン)、坂口麻衣子(ことば)、はらまいこ(写真)、伴智一(写真)、仁科賢人(映像)、神戸未来(絵)、りおまる(朗読)といったジャンルを越えた表現者との共作をしている。

👓 音楽とは何かをお喋りしたり、可能性を広げる仕事が好き
ライフワークとして、「音楽とは何か」「音楽との付き合い方」を多面的に考えたり、音楽がこれまでになかった新しい役割を担うプロジェクトに注力している。これまでに、音楽に未来を向ける那須耕介(法哲学者)との対談、滋賀県高島にある「ヴォーリズ資料館」での壊れかけたピアノを活用する企画、AIと即興演奏をテーマにしたトークライブへの出演、音で"空気"を作るありそうでなかった結婚式演奏、言葉で音楽と向き合うラジオ番組「onsen!」など、音楽の可能性を広げる仕事に積極的に関わってきた。現在は、大分県国東市のまちづくりプロジェクトに音楽家として関わっている。

👓 子どもから大人まで関わること
2023年に指揮者・平林陽と台湾・新竹の心築愛樂合唱団、これまでにはもーるKOBE、豊中少年少女合唱団、うたごえキッズなどの合唱団と共演し、3歳〜86歳までの方々と一緒にステージを作っている。また小・中学校での演奏や保育園・幼稚園での演奏をすることもあるほか、学生時代から教える側としてのキャリアも積んでおり、神戸大学での特別講師や即興を通して自由になるためのワークショップ『だからこそ、きく。』を毎月続けている。

(敬称略・2024年4月1日)