【movie】木原鮎子 × 日吉直行 “やがて、この星とともに”

いきなりですが、まずは音源をぜひ聴いてください。

音源は高音質のアナログ録音によるものですが、その特徴は、聴く媒体によって聴こえてくる音たちが変わることです。高音質といってもYouTubeでは限界があるため、その中でいかに豊かな質の音を届けられるか日々研究している成果もあり、今のYouTubeで聴ける音質としては、最高に近いものをお届けできるのではないかと思います。

おすすめの聴き方は、ヘッドフォンです。もしくは良い再生装置かイヤフォンでお聴きください。まるで、ライブ会場にタイムトラベルしたかのような感覚で聴くことができると思います。
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Ayuko Kihara × Naoyuki Hiyoshi - O Holy Night (Live at Kinomoto Stik Hall)

Ayuko Kihara × Naoyuki Hiyoshi - Silent Night (Live at Kinomoto Stik Hall)

Ayuko Kihara × Naoyuki Hiyoshi - Hallelujah (Live at Kinomoto Stik Hall)

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先週の土曜日に、滋賀・木之本スティックホールで行われたライブ公演『やがて、この星とともに』は無事終えることができました。このようなご時世にも関わらず、足をお運び頂いた方々、そしてスティックホールさんや関係者の皆様、ありがとうございました。

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この公演で、初めて一緒にライブをすることになった木原鮎子さん。これまでJAZZシンガーとして活動されてこられ、今は二人のかわいい男の子のお母さんでもあり、自然豊かな余呉の地で豊かに暮らしておられます。

初めてお会いした時に、鮎子さんは"ジャズに根ざしている"人ではあるけれど、それを否定せずに肯定できる人、つまり「物語の中から抜け出せる人」だと直観で感じました。もちろん僕の音楽のバックグラウンドにもジャズは確かに存在していますが、鮎子さんとはまた違った密度で存在しています。

重要なのは、「その先にある音楽のこと」を伝えられるかどうか。その物語の中から抜け出してくる人たちがいて、初めて記録を残すことができます。記録を残すことはとても重要なworkで、それは、確かな形が存在するものではない「目に見えないものたち」の存在を表現することでもあります。

また、チラシやステージ上にも登場した、鮎子さんのおじいさんの絵。このライブの中心にはいつもその絵がありました。本当は語るはずだったおじいさんの言葉を、想像力を仕事にしている僕らが表現したい、そういう意味で鮎子さんに”星の歌い手”という名前を付けました。少なくとも僕は演奏をしながら、鮎子さんの素晴らしさに震えていました。

また、彼女と引き合わせてくれたタイムマシン・レコードの五島さんには「音を運ぶ宇宙船号の技師」としてライブを収録して頂き、鮎子さんのご主人のそういちろうさんにも、この船の乗組員 crewとしてご参加いただきました。
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クリスマスの音楽には、クリスマス・キャロルクリスマス・ソングの2種類があります。クリスマス・ソングは、文字通りクリスマスを題材にした音楽。クリスマス・キャロル讃美歌や宗教曲のイメージがありますが、元は「踊りのための民謡」という意味があり、今回は特にその意味合いでアレンジしました。

そのクリスマス・キャロルの中から「O Holy Night」と「Silent Night」、そしてレナード・コーエンの名曲「Hallelujah」の3曲を採り上げています。

「O Holy Night」と「Silent Night」は、<夜>をテーマにアレンジしています。僕らの住む惑星の半分は、常に夜に侵されています。夜には不思議な力があって、今いるこの場所に、あちら側の存在を伝えてくれます。あちら側とは、心の中の<冬>や<寒さ>の感覚と言い換えてもよいかもしれません。その空気を曲のアレンジの中心に据えてみました。

そして、「Hallelujah」のアレンジは、特に今回日本語の歌詞を使わせていただいたのですが、この詞を作ったのは素晴らしい歌い手の柳原陽一郎さん。そのリスペクトの意味も込めて大事に演奏させて頂きました。

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今年はいつもと違う冬を迎えています。いつもと違うからこそ、その<夜>をゆっくり噛み締めながら、ぜひ”星の遊泳飛行”を楽しんでいただけたらと思います。