20200829|青い夜がまっしろにきえてゆく音たちを知っている

この夏にレコーディングした曲たちは、冬にリリース予定のピアノソロアルバムになります。それはCDではない媒体で発表することになるかもしれませんが、そこに散りばめたテーマや込めた想いは、間違いなく僕自身の今を表現する作品になります。その作品の中心となる絵を、同じ宮崎県延岡市出身で神戸にお住まいの堀川智美さんに描いて頂きました。

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堀川智美さんのインスタ→@h_tomomisan

僕が生まれた宮崎県延岡市は、現地の人が「陸の孤島」と表現するくらい外から訪れるのに距離が遠く感じる街です。でも山も海も近くて、気候も良くて食べ物も美味しい豊かな街です。今は神戸に住んで16年目になりますが、こちらで同郷の人に出会うことは滅多にありません。たとえ同郷の人であっても、表現を仕事にしていること、さらにその感度が近しい人に出会うことは、天文学的数字に近い(少し大袈裟)とさえ思いますが、ともみさんはその人で、衝撃的な出会いになりました。

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きっかけを作ってくれたキーワードは鹿児島でした。僕がSNS映えとか気にせずにやっているInstagramに鹿児島でのお仕事や記事を書いて、気まぐれにハッシュタグをつけたりしていた所、そのタグから偶然僕の記事を見つけて下さる方がいて、その方がともみさんでした。プロフィールから絵を描く人であること、宮崎から神戸に住んでいらっしゃることが分かったので、気になってやりとりを始めたのが最初です。

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ともみさんは、青を描く抽象画や心象画をたくさん描き、真鍮の作品も作ったりされます。僕も自分の音楽に青が重要なファクターとしていつも存在している1人なので、そのタッチ感やスピード感、感性の捉え方や余白への向き合い方、そして何より青である理由の置き所に、音と絵の媒体を越えて、すっごくピントが合いました。

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そんな青の人が、僕の音楽から紡いで頂いた作品は、白になりました。白と言っても、表情が変わる白。実際の作品を見ても、光を当てても、その意味が変わってくる色味です。

例えば音楽の世界では、特にロジカルな部分で感性を表現しようとして使われる言葉の一つに「音色」があります。楽器の音色とか、音階のカラーリングとか、ドビュッシーの音楽でも印象派と繋げるために使われたり。でもこれらが「何かを説明しているように見える雰囲気のいい言葉」になってしまっていることが多いと感じます。何かを説明しようとして説明できていない言葉のひとつであり、実は論理的な思考と感覚の絡みあった先にある「something 何か」を紐解いていくための手懸りにもなるものだと感じています。

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このあたりのテーマと、ともみさんと僕それぞれの感性も含めた作品や表現企画を冬にしようと動き始めました。是非色んな形で色んな方に届くといいなと思います○

ちなみにこの記事のタイトルは、原田郁子さんの曲「青い闇をまっさかさまにおちてゆく流れ星を知っている」から引用しました。この曲は、トリオでもベースを奏でて下さっている水谷浩章さんがリーダー&アレンジをしたバージョンで、アルバム「ケモノと魔法」に収録されています。