20200812|ライブを終えて、まずはざっくりと。

日吉直行 × 小美濃悠太 ≪線上ライブ≫ "ongen!"(の音空間)にお越し頂きありがとうございました!

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今回初めて会場にゲストを入れて、同時に有料配信のライブもするというチャレンジをしてみました。特に今は生演奏を聴きに来るという方がリスクがある形になってしまったため、配信で楽しんでくださった方も多くいらっしゃいましたし、わざわざ遠方から来ていただいたりもして、とても嬉しいライブになりました。まずは御礼を申し上げます。

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小美濃君とは初共演でした。演奏後に二人で話したり、感想でも多く頂きましたが、間違いなく僕らの呼吸が合っていて、最初の音を出した後の空気で、もう「うまくいくな」と感じていました○

ピアノとベースのデュオというより、ピアノとコントラバスのデュオという方が正しい表現で、編成的にもジャズ的になりがちなデュオの在り方にはお互い目もくれず、ただひたすら音楽の存在感と方向性を見つめながらのあっという間の2時間で、まさにongen!というタイトルのイメージの音空間になったなぁと思います。

セットリストは下の方に載せていますが、お互いのオリジナル曲を中心に、それぞれが身体に入れてきた音楽を1つずつ話しながら、ポーランドのジャズ周辺や台湾の歌、インドネシアの歌などを演奏しました。

終えた後の質問で、どうやって演奏しているのか聴かれましたが、僕の中のすべてが連動した結果の表現になったりしているので、個人的にはココを言葉にするのが難しかったなぁと思いました。

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ライブでは、生演奏と配信についての僕の考えを少しお話させていただきました。「生演奏でしか体験できないこと」「配信でしか体験できないこと」どちらにもまだまだ実現したいことが沢山あります。

特に今僕たちが作っている配信の世界観は、録音家の音に対する感性と音楽家の感性や調律家の感性との対話空間になっていて、イヤホンやヘッドホン(ヘッドホンの方が耳には優しい)で聴くと、より「人間の耳では聴こえてこなかった音たち」が聴こえてきます。この音たちが特に配信にしっかり収められています。「聴こえてこなかった音たち」というのは、録音家や調律家が音楽家以上に「聴いている音」のことで、これまでの彼らとの対話で感じてきたことでもあります。

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また今回の配信では、映像表現に関しても突っ込んだ試みをしました。僕らの配信のテーマである「配信でしか取れない映像」を収めるために、カメラマンが舞台上を出演者のように動きながら撮ってもらい、その他の固定カメラでも今考えられる配信ならではの映像を撮ることにチャレンジしました。特にゲストがいる生演奏の空間で一方の世界観も表現することになるので、生演奏を見る方たちにもそういう表現を目指していることを音楽家自身の言葉で語る必要があると思い、最初に話をさせていただきました。

今回の試みはとても意味のあるものになったとみんなが感じていて、体験された方にいろんな意見を伺いながら、今後一部を無料公開、編集映像を再配信することも合わせて検討しています○

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今の僕らは表現者だけでライブを作り上げているので、人手も予算も思うように割けないのですが、種々の助成金など増えてきたので、もちろんそれらを活用してこれからの活動に弾みをつける時があるとは思います。しかし僕が興味があるのは、今だけを乗り切る一時的な音楽活動ではなく、自分たちの音楽でも手持ちの機材でも今の世の中で音楽活動が継続できることの方です。「音楽家が音を出したい」と思わなくなったら、音楽家という職業や環境は消滅しますし、それは一時的なお金では解決できない問題です。このように今の「音楽の在り方」に色々想いもあるのですが、本当に僕らの音楽に対する情熱を受け取ってくださる方々の支えが救いになっています。そして、「こんな音楽活動をしている人たちがいるよ」とこそっと広めて下さると嬉しいです。

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そしていつも感謝してもしきれないのが、こういう僕たちの試みの場を快く提供してくださっている100BANスタジオの皆さんです。いつもありがとうございます。この情勢の中で音楽家の表現や技術向上ができる場になっていて、音楽活動を続けられる喜びを毎日噛み締めているところです。

ソーシャルディスタンスが叫ばれる中、僕らが求めているものは、"密"な音とココロの距離です。それは、これからの生演奏空間にも配信空間にも求められるものであり、コロナ以前と実は変わらない音楽の在り方でもあります。"響く音"を近くても離れても届けられるように、日々音楽づくりに邁進していきたいと思います。

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2020.8.10. at 100BANHALL

日吉直行 - piano
小美濃悠太 - contrabass

五島昭彦 - recording&sound
吉成聡志 - movie
鈴木優子 - piano tuning
栗山覚 - help


【セットリスト】
1. Blinking (Naoyuki Hiyoshi)
2. After All "み" (Yuta Omino)
3. Maboroshi (Naoyuki Hiyoshi)
4. Palhaço (Egberto Gismonti)
5. 実在しない民謡 (Yuta Omino)
6. tobali to hibari (Naoyuki Hiyoshi)
7. A PLACE WHERE HE LIVES (Naoyuki Hiyoshi)
8. Rosemary's Baby (komeda)
9. 月亮代表我的心 (孫儀 / 湯尼)
10. 蒼い夜、歩く人 (Naoyuki Hiyoshi)
11. BENGAWAN SOLO (Gesang Martohartono)