ピアノと向き合う

今週末のピアノソロのライブに向けていろいろと準備を。

ピアノを弾いていると、もちろん「即興で弾く」という瞬発的・感覚的行為が多くなるけれど、「楽譜に書かれた音を弾く」という整理・理解の行為もあるので、その準備というか練習に熱が入ります。ピアノを始めた頃から楽譜通りに弾いたり弾かなかったりしていたので、先生にはイヤミを言われたこともあったけれど、あんまり怒られたことはなかった気がします。

ピアノは、タッチの感覚、ダイナミクスレンジ、ペダリング、視線、椅子の高さ、譜面台をどうするかなど、気を配るところが無数にあるのですが、苦労なくたくさんの音を鳴らすことができる装置のようなもので、とっても複雑な響きを作り出すことができます。内部奏法も使えばさらに装置っぽくなるんですけど、その研究も果てしない…。

また、ピアノの技術と音楽性は必ずしも一致するわけではなかったりします。ピアノはとても上手だけれど作った曲の完成度と嚙み合っていない人もいるし、むしろピアノを全く弾けない人のほうが素晴らしい曲を作る場合もたくさんあります。

まぁ自分の評価はよくわからないので腕を磨くのみですが、意図しないところでピアノのスタイル(即興とか)や音楽に対する考え方がすごく似ている人というのも存在します。

僕は学生のときは全然意識したことなかったけれど、「(作曲家の)野村誠さんの即興とすごく似ている」と言われたことがあって、今回野村さんの作品を初めて取り上げてみることにしました。まだ1度か2度しかお会いしてないですが、今はインドネシアで音楽活動をされているようで、奇しくもインドネシアに興味がある僕にとっては、とても注目する存在です。

また、インドネシア以外に注目していることは、ビョークと渡り鳥(またはアイスランドに行きたい)。ビョークは世界的にカヴァーされているけれど、ピアニストにとってはちょっと難しい。というのもメロディラインがピアノでは表現しにくいこと、エレクトロニカの要素はアコースティックのピアノでは表現しにくいこと。今後自分の中でもテーマになりそうな予感。渡り鳥は、僕の好きな音楽家たちはみんな鳥をモチーフに音楽を作っていることに気づき、たまたま「WATARIDORI」というフランス映画を見ていたことから興味を持ち始めました。有名どころではメシアンの作品とか、つい最近来日してたマリアシュナイダ―もバードウォッチングをしていて書いた曲があったり、パスコアールやモンポウなんかも鳥にまつわる曲を書いています。将棋の世界でひふみんと呼ばれている加藤一二三さんも渡り鳥に興味があるとか。そこからアイスランドにも渡り鳥がいるということが分かり、アイスランドに行きたい!という思いを込めて曲を書いてみました。

これまで作ってきたオリジナル曲もソロ用にアレンジが進み、ライブに向けて準備が整ってきました。僕の今の家には生のピアノが置いていないので、とある場所をお借りして練習しなければならなく、これは課題の一つでもあります。ここ数年は他のところに視点があったのですが、ソロでは「ピアノ」という楽器に対峙しなければならない、そして誰にも頼れない。まさにピアニストにとっては背水の陣で敵陣に切り込む覚悟です(大袈裟)。

Piano Solo(兵庫・王子公園)
日程|2017年6月18日(日)
出演|日吉直行(piano)
会場|Salon de ame(神戸市灘区篠原南町6丁目1-8)
時間|開場13:30 開演14:30
料金|予約¥2000 当日¥2500
予約|090-3922-6280 / airline0121@gmail.com(サロンドアーム)